こんにちは、らじおです。

 

少し前の自分は、今よりもう少し丁寧に暮らしていた気がします。

 

ドアは静かに閉める。
椅子にはそっと座る。
キーボードは、怒りをぶつける道具みたいに叩かない。

そんな、言ってしまえばものすごく地味なことを、けっこう大事にしていました。

 

でも最近、正直ちょっとできていません。

仕事が忙しくなって、考えることも増えて、
管理職になってからは、人と関わるストレスもぐっと増えました。

 

すると不思議なもので、
暮らしの“雑音”って、外からだけじゃなくて、自分の中からも出るんですよね。

ドアを閉める音が少し強くなる。
物を置く手つきが少し荒くなる。
パソコンを打つ指先に、うっすら機嫌の悪さがにじむ。

 

昔の自分なら「それ、ちょっと違うな」と思えていたことが、
今は「まあ、しょうがないか」で通過してしまう日もあります。

でも本当は、そういう日ほど、丁寧にしたいんですよね。

 

ぼくは昔から、「丁寧な動き」が好きです。

それは上品ぶりたいとか、意識高い系とか、そういう話ではなくて、
丁寧な動きって、その場の空気を少しやわらかくする力があると思っているからです。

 

たとえばカフェで、
隣の人がドスンと座って、
バンッと荷物を置いて、
ターン!ターン!ターン!とキーボードを叩き始めたら、

コーヒーの香りより先に、疲れが来ます。

 

逆に、所作が静かな人がいると、
その人は何も喋っていないのに、空気が少し整う感じがするんですよね。

ぼくはあれが、ずっと好きなんです。

 

丁寧な動きって、
たぶん「ちゃんとして見える技術」じゃなくて、
周りにいる人を少しだけ安心させる、小さな気遣いなんだと思います。

そしてたぶん、それは周りのためだけじゃなくて、
いちばん最初に効くのは、自分自身なんですよね。

 

そんな感覚の原点にあるのが、
松浦弥太郎さんの 『今日もていねいに』(PHP文庫)。 という本でした。

昔この本を読んだとき、かなり衝撃を受けました。

というのも、当時のぼくの中には、
「こういうふうに生きられたらいいな」
というぼんやりした憧れがあったんです。

でもそれは、うまく言葉にできないものでした。

 

その“まだ名前のついていない理想”に、
松浦さんがきれいに言葉を与えてくれた感じがしたんですよね。

「あ、自分が好きなのってこれだ」
って、やっと輪郭が見えたような感覚でした。

 

あの本を読んでから、
丁寧に動くことは、自分の機嫌を整えることでもあり、
周りにやさしい空気を広げることでもあるんだと思うようになりました。

当時のぼくは、けっこう素直にそれを信じていた気がします。

 

そして今。

あの頃より、明らかに生活は複雑になりました。

 

仕事の責任は増えたし、
「自分ひとりが整っていればそれでいい」というフェーズも、とっくに過ぎました。

誰かの機嫌。
誰かの事情。
誰かの未処理。
それらが、気づくと自分の机の上に積まれていく。

 

管理職って、スーツを着た“静かな雑巾”みたいなところがあって、
気づくといろんなものを吸ってるんですよね。

そりゃ、ちょっと荒れる日もあります。

 

でも最近思うんです。

丁寧に暮らせていたあの頃って、
暇だったからできていたんじゃなくて、
自分を雑に扱わないようにしていたから、できていたのかもしれないなって。

 

忙しいからこそ、
荒れているからこそ、
本当はそこを手放しちゃいけなかったのかもしれません。

 

昔みたいに完璧に整った自分に、
一気に戻ろうとすると、たぶん続きません。

だから最近は、もっと小さく考えています。

ドアを静かに閉める。
マグカップをそっと置く。
人の話を、最後まで遮らずに聞く。
疲れている日にこそ、ひとつだけ動きをやわらかくする。

そのくらいでいいのかもしれません。

 

丁寧さって、
“ちゃんとできている人の才能”じゃなくて、
何度でも戻ってこられる場所なのかもしれませんね。

 

だからぼくは、また少しずつやり直そうと思っています。

バタバタして、イライラして、
気づけば所作まで荒くなってしまう毎日の中で、
それでも自分の奥のほうにある「こうありたい」を、もう一度拾いにいく感じで。

 

昔の自分に戻る、というよりは、
今の自分のままで、もう一度丁寧に生き直してみる。

そんな感じです。

 

丁寧な動きで、世界平和を目指す。

書くと少し大げさですが、ぼくは今でもけっこう本気でそう思っています。

少なくとも、
バンッ!より、コトッ。
ドスン!より、スッ。
イライラッ!より、ひと呼吸。

そのほうが、人生の肌ざわりはたぶん良くなる。

 

まずは自分の半径1メートルから
丁寧にやり直そうと思います。

ABOUT ME
らじお
40代半ば、一人娘の父です。 メンタル心理カウンセラー資格所持。 就職氷河期のあと、約10年ほど海外を放浪。 その頃から読み始めた自己啓発本は1000冊以上になりました。 二十数年続く自分探しの旅、今日ものんびり進行中です。