3月になると、思い出すラジオの話。『想像ラジオ』を読み返して思ったこと
こんにちは、らじおです。
3月になると、なんとなく思い出す本があります。
『想像ラジオ』
いとうせいこうさんの小説です。
出版されたのは2013年。
わたしが最初に読んだのも、その頃でした。
ただ正直に言うと、そのときはこの物語をうまく受け止められませんでした。
震災で亡くなった人の魂が、ラジオ番組のDJとして語り続ける。
そんな設定に、少し怖さを感じてしまったんですね。
「なるほど、面白い設定だな」と思いながらも、
作品の奥にあるものまでは、きっと届いていなかったと思います。
それから年月が流れて、
ある年の3月、ふとこの本のことを思い出しました。
「もう一回、読んでみようかな」
そんな軽い気持ちで読み返したのですが、
読み終えたあと、前とはまったく違う気持ちが残っていました。
この物語の中心にいるのは、“DJアーク”という人物。
震災で亡くなり、まだ遺体が見つかっていない男性です。
彼はラジオ番組のDJとして、
震災で亡くなった人たちの想いや記憶を語り続けます。
ただし、このラジオ。
誰にでも聴こえるわけではありません。
想像力のある人にだけ聴こえる。
少し不思議で、どこかポップな世界観。
でも、その奥にはとても静かなテーマが流れています。
震災を生き延びた人の心の中には、
きっと簡単には言葉にできない想いが残っている。
「あのとき、自分だけ生き残った」
「もう一度会いたかった」
そんな気持ちを、
この物語はラジオの電波に乗せて届けてくれるんです。
生きている人と亡くなった人のあいだに、
見えない周波数を合わせてくれるような、そんな物語でした。
この本を読んでいると、
ある言葉がふと頭に浮かびました。
「集合精神」。
SFなどで登場する概念で、
複数の存在が、ひとつの意識として繋がっている状態のことです。
わたしの頭の中では、こんなイメージでした。
一人ひとりの頭から、
細い光のようなものがふわっと伸びていく。
そしてその光が、
宇宙のどこか一点に集まっている。
……完全に想像です。
だいぶ勝手なイメージですけど(笑)
でももし、そんな世界があるとしたら、
生きている人と亡くなった人の意識も、
どこかで繋がっているのかもしれません。
生きている人が亡くなった人を想うことも、
亡くなった人が生きている人を想うことも、
案外、当たり前のことなのかもしれない。
そしてそれは、
目の前にいる誰かとの関係にも言える気がします。
人と人は、どこか深いところでは繋がっていて、
お互いわかり合える存在なのかもしれないな、と。
この本を読んでいると、
少しだけ不思議な感覚になります。
亡くなった人たちの声に耳を澄ませながら、
自分の意識が、ふわっと広がっていくような感じ。
日々の生活の中で、
こういう「目に見えない世界」を想像する時間って、
あまり多くないですよね。
でも、たまには想像力のチューナーを少しだけ回して、
誰かの想いに耳を澄ませてみる。
そんな時間も悪くない気がします。
もしまだ読んだことがなければ、ぜひ一度読んでみてください。
ラジオはきっと、
想像力の周波数が合った人にだけ、
そっと聴こえてくるはずです。


